猫好きなので、この映画が目に留まって見てみた。
映画『Flow』は、黒猫が主人公の3Dアニメーション映画だ。
人間がいなくなった世界で、突如洪水が発生し、世界は水浸しになる。
主人公の黒猫と、風変わりな仲間たちが、洪水から逃れるため小舟で旅をする。
※ネタバレあり
セリフがなく、人間がいない世界の物語
人間が存在せず、登場するのは動物のみ。
動物が人間と同じように言葉を喋るアニメも多いが、『Flow』では喋らない。
だからセリフは一切ない。
動物たちの表情や仕草を見て、感じ取る映画だ。
この雰囲気は、Skyに少し似ていると思った。
Skyが好きな人なら、きっと楽しめると思う。
舟に乗り合わせた、名もなき仲間たち
彼らには名前がないので、以下は私の脳内での呼び方だ。
- 黒猫ちゃん:主人公。真っ黒ではなくダークグレーらしい。
- カピバラさん:おっとりマイペースな力持ち。何事にも動じない。いるだけで安心感がある。
- おサルさん:光り物が好き。籠に集めたコレクションを常に大事にしている。
- ワンコ(たち):追われたり、助けたり、腐れ縁?ちゃっかりたくましく生き抜いている。
- 鳥さん:いたずらっ子かと思いきや、身を挺して守ってくれたやさしい子。舵を握る船長。
人間がいなくなった世界の侘しさ
冒頭で黒猫が寝床にしていた家には、人間が住んでいた形跡がある。
窓は割れてしまっているが、ベッドや机などの家具はちゃんと残っていて、人間だけが消えてしまった感じ。
住人はアーティストだったのか、木彫りの猫がそこかしこにあり、机にはスケッチ途中の猫の絵がある。
絵のモデルは主人公の黒猫なのか、それとも彼の祖先だったりして。そんなに朽ちた様子はないので、前者かも。
洪水により、黒猫は家を離れることになる。
もし愛する主人と暮らしていた家だとしたら、主人を失い、家も失い、猫ちゃんにとってはとてもつらく悲しいことだ。
猫好きは心配で見ていられないハラハラ感
洪水が迫ってきたり、黒猫ちゃんが水に落ちたりするたびに、ハラハラして見ていられなかった。
あまりによく落ちるものだから、そのうち耐性ができて、「あ、また落ちた」と思うようになった。
中盤ではカピバラさんのおかげもあって、黒猫は泳ぎ方と魚の捕り方をマスターし、たくましくなっていった。
潜って捕ってきた魚を犬たちにも分けてあげて、やさしい黒猫ちゃん。
でも、犬も泳げるよね。犬かきとは?
種族関係なく助け合う動物たち
猫、カピバラ、サル、犬、鳥。
動物たちは、それぞれ個性があって、みんな愛らしい。
種族が違っても争わない。
言葉はないけど、たしかに彼らは仲間だった。
さすがに犬とサルはちょっと仲悪そうだったような?犬たちがふざけてサルが大事にしてる光り物コレクションにちょっかい出すから。
そんなこんなでも、最後にはみんなで力を合わせて窮地を乗り越えた。
肌の色、国籍、宗教で争い続ける人間社会とは対照的な、純粋な動物たちの友情と絆を感じた。
洪水は人類への警鐘か
大洪水という設定から、環境破壊や温暖化への警告なのかな、とも感じた。
やがて、水は引いた。
水が引くことで助かる命がある一方で、失われる命もある。
クジラの最期はとても悲しかった。
最後、黒猫の足元に、さっきまで動物たちの命を脅かしていた水が、小さな水たまりとなっていたのが印象的だった。
ただのハッピーエンドにはならなかった
というわけで、水が引いてよかった、めでたしめでたしとはならなかった。
順番が前後してしまうが、クジラは呼吸がだんだん弱まっていく様子が、とてもリアルに描かれていた。
それに対して、鳥さんの最期は、空から光が差してきて天に召されていくという、ファンタジー的な描写だった。『フランダースの犬』の有名なあのシーンのように。
鳥さんは非現実的だったのに、クジラはリアル。この違いはなんなんだろうと不思議に思った。
きっと鳥さんの最期は、嵐の中で溺れかけた黒猫が見た(見せられた?)、幻・イメージのようなものだったんだろう。
鳥さんは羽を折られて飛べなくなっていた。
弱っていた鳥さんが、あの嵐のときに寿命を迎えたのだと思う。
本当は黒猫も危なかったけど、塔の頂上でのシーンのとおり、「君はまだきちゃだめだよ」と、鳥さんが猫だけは戻してくれたんだろう。
悲しみもあるけど、美しい物語を見た。余韻がすごい。
